決断力

| トラックバック(0)

入社して3ヶ月。新人研修の目玉である6週間のプロジェクト演習が終わった。この演習では8人チームのリーダーの役割を担い、仮想のお客様に向けてのシステムの要件定義から外部・内部設計、開発・テストという一連の流れを経験した。このプロジェクトを通して学んだことは山のようにあるが、その中でも特に決断することの重要性を痛いほど感じた。

当然のことながら決まらないとプロジェクトは始まらないし進まない。何を作るのか、誰がどの部分を担当するのか、今のこの状況に対して計画をどう変更するのか。プロジェクトは日々決断の連続だ。そしてリーダーという役割の性質上、1人で決断を下さなくてはならない状況に少なからず直面した。この決断力のなさが身に染みた。よい決断を下したと思うこともあったけれど、振り返ってみて、もっと早く違う決断や前の決断を修正するための決断を下しておけばよかったと感じことの方が多い。

決断には4つのことが重要だ。戦略的思考、チームのアライメント(連帯)、リーダーの人間性、個人の自主性の4つだ。一言に決断といっても、チームとしての全体的な決断や個人の決断、サブチーム内や同じタスクに取り組んでいる者同士の間での決断など、さまざまなレベルでの決断がある。しかし、そのどの1つの決断をとってしても、プロジェクトの目的を達成するための決断でなくてはならない。そして、すべては決断のためであり、コミュニケーション能力や問題解決能力などすべての能力が決断のために集約されなくてはならない。その中でも特に重要なのが先にあげた4つだ。

まず、戦略的思考というのはその決断がロジカルであるかどうかという点だ。進捗を管理したり、工数の計算をしたり、あらゆる情報を元にタスクを割り振る。タスクの優先順位は的確であるか、メンバーの特性にあったタスクが割り振られているか、合理的に仕事を進めるための決断が下されていなくてはならない。進捗上、工数の割り当てが不可能なタスクが発生すれば、機能を削るなどプロジェクトの目的を修正するための決断を下さなくてはならない。こういった数字を見る力、数字からストーリーを作り出す力が決断力の前提となる。

次に、チームのアライメントに対しても、十分配慮がなされていなくてはならない。ある決断に対してチームが納得できているか、その決断に全員が関わっているか。もし全員が関わっていないにしても、チームメンバーの気持ちを汲み取った決断が下されているか。そのための情報の共有であったり、意識の統一である。逆にチームのアライメントが築かれていないと、チームが決断に沿った行動を取るということはまずありえない。チームが決断の意図を理解し、その目標が明確になることで、決断が腹に落ちる。実行に移るのだ。

3つ目に、リーダーの人間性もまた重要な要素だ。全ての決断をチーム会議の議題にして決めていくことはできない。それには膨大で非効率な時間が必要となってくる。先に述べたとおり、さまざまなレベルでの決断がプロジェクトでは下されている。それらの決断に最も多く関わることになるのがリーダーだ。「この人の決断なら安心できる」という信頼をリーダーはメンバーから獲得していなくてはならない。そのためには、メンバーの意見や気持ちを無視して決断を下していくことはできない。チーム戦略上の必要不可欠な決断、チームのアライメントが崩れてしまいそうな決断を下すときこそ、リーダーの人間性が問われるときである。

最後に、ある決断を下すときには、必要最低限の人間が、必要最低限の時間で(そして最速で)決断を下すのがベストである。そのためにはエンパワーリングな環境(メンバー個人に裁量と責任をゆだねていく環境)と実際に的確な決断を下す決断力が各メンバーに備わっていることが重要だ。そのためにリーダーは人を育てているか、ということを意識しなくてはならない。メンバーに足りない点があればそれを補い、惜しみなく自分を持っている知識や時間を無償で提供する覚悟があるか。メンバーのエンジンに火をつけ、個々人の自主性を伸ばしていくことができるなら、どんなプロジェクトも怖くないし、1つ1つのプロジェクトを通して成長していける最高のチームになるだろう。

今回のプロジェクト演習は私にとって非常に悔いの残る結果となった。自分にとって足りないところがどんどん浮き彫りになって、チームに対しても大変な迷惑をかけた。プロジェクトそのものは品質の面で成功には達せなかったが、得たものは非常に大きかった。やってよかったと言ってくれるメンバーもいて、次は絶対に成功させる自信もある。しかし、現場に「次」はなく、研修も明後日で終了だ。このかけがえのない時間を一緒に過ごしてくれたメンバーを誇りに思うし、これから先、配属先がバラバラになっても今回学んだことを活かして一緒に成長していきたいと思う。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://shigephilo.heteml.jp/mt/mt-tb.cgi/262

ご案内

月別 アーカイブ

ブログパーツ